治験・臨床試験に係る３団体が「データインテグリティ宣言」を共同で策定

治験・臨床試験に係る３団体が「データインテグリティ宣言」を共同で策定

各位

　この度、日本SMO協会、日本CRO協会、日本製薬工業協会医薬品評価委員会は、治験・臨床試験の信頼性確保のための「データインテグリティ宣言～私たちの宣言～」を共同で策定しました。３団体は、本宣言を各団体の会員である治験・臨床試験の関係者に周知すると共に、本日、それぞれのウェブサイトを通じて公表いたしました。

　データインテグリティ（Data Integrity）とは、データが完全であり、一貫しており、正確であることを意味します。新薬創出と育薬のためには、治験・臨床試験から得られる様々なデータが必要であり、そのデータは患者さんの協力が不可欠です。患者さんが治験・臨床試験へ参加するにあたっては、疾患の克服に向けた様々な思いが込められています。その思いを裏切らず、未来の医療に役立てるため、私たち一人ひとりがデータインテグリティ確保の重要性を意識した行動をするとともに、その大切さを治験・臨床試験に携わる全ての人々にいつでも身近に感じて欲しいとの思いが、本宣言の基になっています。

　2020年4月に、当該３団体は「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）感染拡大下における治験・臨床試験の実施・管理等について」を発信しました。以降も、COVID-19の影響に加え、治験・臨床試験に関する様々な手法や考え方が従来のスタイルから大きく変わりつつある環境の中、治験・臨床試験の信頼性確保の重要性を関係者全員に改めて認識してもらうことを目的として、３団体共同の宣言の検討を進め、策定に至ったものです。

　今後、治験・臨床試験に携わる関係者が、本宣言に込めた思いを理解し、自らの行動指針に落とし込めるように、３団体共同で本宣言の浸透を図る活動を展開します。３団体は、この活動により、治験・臨床試験の質の向上を果たして、新薬創出と共に育薬に結びつけ、一人でも多くの患者さんにお届けすることを目指します。

 

データインテグリティについて

　データインテグリティ(Data Integrity)とは、データが完全であり、一貫しており、正確であることを意味しています。データは、その生成、記録、処理、レビュー、分析、報告、転送、保存、取得、モニタリング、そして廃棄といったデータのライフサイクル全体において、完全で、一貫性があり、また正確であることが求められます。
　医薬品のライフサイクルマネジメントに関わる全てのデータは、治験・臨床試験に協力してくださった患者さんから預かったものであり、未来の患者さんが使用する医薬品の品質、有効性、安全性等の信頼性を担保するデータとなるため、米国FDAが示しているALCOA原則に従ってデータのインテグリティを保つとともに、改ざんや捏造といった不適切行為を防ぐことで、データインテグリティを確保する必要があります。インテグリティは、患者さんから得られた原データ（検査値などの数値データや、薬剤名などのテキストデータなど）だけではなく、そのデータを説明する情報（測定者、測定機器、測定日時、測定方法、単位といった、原データを理解するために必要な補足データ：メタデータ）や、集計、分析し、報告された内容（解析帳票や総括報告書などに含まれるデータ）にも求められます。

データインテグリティ宣言～私たちの宣言～

• 私たちは、協力してくださる患者さんをはじめ、治験・臨床試験に携わる全ての人達の立場・役割を理解・尊重し、一丸となってデータインテグリティ（データの完全性、一貫性、正確性）の確保に取り組みます。
• 私たちは、協力してくださる患者さんの尊い意思を忘れず、どのような状況においてもその意思を裏切るような行動を絶対に行いません。
• 私たちは、未来の患者さんに役立てるために、協力してくださる患者さんから預かる全てのデータを「正しさ」を保ったままつなげていきます。

＜3団体のウェブサイト＞
日本SMO協会：http://jasmo.org/smo/data_integrity.html
日本CRO協会：https://www.jcroa.or.jp/cro/data_integrity.html
日本製薬工業協会：https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/message/di.html