小川:CROの振り返りから未来への提言まで、いろいろと有意義な話ができたと思います。最後に、この誌面を読んでいるCRO関係者の皆さまへのメッセージという形で、この座談会を締めたいと思います。藤枝:CRO協会ができてと申しますか、日本でCROが誕生してからのこの30年は、医薬品開発の分野においては右肩上がりできたといっても過言ではないと思います。ところがこのところ、少子化が進行し、人口も減少傾向になってきた。そういう中で、実はもう数年早くマイナス成長といった状況がくるかなと思っていたのですが、コロナでこの業界としてはかなりプラスに振れた可能性があるんですね。コロナの治療薬やワクチンなどの治験がかなり積極的に行われましたから。しかし、それもまもなく終了するということになるので、これから非常に厳しい時代を迎えるはずです。社会問題となっているドラッグロスは、CRO業界にとっても大きな危機ともいえます。この状況を乗り切るためには、我々植松:未来塾には私も非常に期待しています。人材育成というと上から下に教育するとか、研修をするといったものをイメージすると思うのですが、未来塾はそうではありません。世界のビジネス環境などの変化に対して、我々は今後どのように生き延びていけばよいのかといった、もっと広い意味でのテーマによるディスカッションを通じて、CRO協会を代表していろいろなことを発言できるような人材を輩出していければと考えています。小川:この業界に限った話ではなく、より広い視野、高い視座を持った人材が一人でも二人でも輩出できたら、協会の今後もすごく面白くなるのではないでしょうか。自身が工夫していかなくてはならないし、業界を挙げて世界の流れに乗っていかなければならない。今まさに業界全体で連携して危機に当たることが求められていると私は思っています。ともに協力し合い、日本のCRO業界の未来を盛り上げていきましょう。安藤:藤枝さんがおっしゃられたように、日本のCRO業界の成長はコロナの影響で上振れしていますが、業界としては成熟産業的な状態にあると思います。一方で、世界に目を向けるとCRO市場はまだまだ成長過程にあることも事実です。今後もCRO業界が少なからず成長していく産業としてあるためには、日本が抱えている課題に積極的にアプローチをしていくとともに、海外に向けても存在感を発揮して開発シーズを呼び込むことがこれからより重要になるはずです。そうした中、CROは健康産業を担うプレーヤーの一員として自立し、これをけん引していくようになっていかなければならないし、なっていけるだろうと思っています。そうしたCRO個々の活躍はもちろんですが、協会自身の活性化についても皆さんの協力がいただけると非常にありがたいですね。植松:皆さん、いろいろなお話をしていただきましてありがとうございました。CROはこれまで順調に伸びてきましたけれども、GCPリノベーションの進行や社会環境の変化などに伴い、これから大きな変革が起きてくるだろうと思います。そうした中で、協会はすべてのステークホルダーのハブとなって、業界の連携や国際競争力の強化に努めたいと考えています。さらに、先ほどお話ししました未来塾もあります。CRO業界をより魅力あるものにするために、皆さんには協会活動にも積極的にご参加いただければと思っています。8コロナ禍を経て、さらに強く魅力的なCRO業界へ特別座談会
元のページ ../index.html#8