Japan CRO Association Annual Report 2024
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Discussion meetingションにおける中核として、いろいろな業種の方をまとめるハブ的存在になることだと考えます。そして、製薬企業に新しい薬剤の開発をどういった形でやっていくのかをどんどん提案していく。モニタリングなどでは、すでにいろいろなことを積極的に提案していっていますよね。それとともに重要なのがDX化です。先ほど開発には人手がものすごくかかるというお話がありましたけれども、DXをうまく利用しながら開発における省力化をいかに実現するか。各社すでに取り組んでいるところだと思いますが、さらに注力する必要がありますね。しかし、革新的な薬をより早く患者さんの手元へ届けるためには、我々CROだけで解決できないいろいろな課題があります。そのため、多様な業種の方々と一緒になって、日本における創薬の活性化を実現していく。そうした方向に今、進みだしたというところではないかなと思っています。小川:小川からもコメントさせていただきますと、現在のCROという業態のポジション的には、先ほどから皆さんの話をしているように、依頼者側から一定レベルの信頼性を獲得して、もう信用してもらえる立場になっているのではないかなと思います。しかし、これがいつまで続くのかなというふうに考えなくてはいけなくて、続けられずにCROという業態が落ちていってしまったら、我々の仕事がなくなるだけでなく日本の臨床試験、薬の開発だったり新しい治療法の開発というものが廃れていきかねない。そうならないために、日本のCROという業態が今後どういうことをやっていかなければいけないのかという点について、今お話しいただいた3人にはヒントも含めて具体的な取り組みなどを挙げていただけたと思います。特にデジタル系のこととか新しい手法といったものについては、製薬企業も取り組んではいるものの、仕事を通じていろいろなスタディーを経験できる上に、賛助会員含めて多様なプレーヤーの集まりである協会での情報交換という機会にも恵まれているなど、CROにやはり一日の長があるではないでしょうか。そうした優位性をどうやって発揮するのかというところを、今後はもっと追求していくべきではないかなと考えます。小川:ここまでCRO業界全体の話をしてきましたが、ここからは協会の活動というところにもフォーカスをしたいと思います。今後、どういうことに注力していくべきとお考えですか。藤枝:日本における新薬開発は、今、大きな曲がり角を迎えています。ドラッグロスの問題もあり、グローバルスタンダードの治験のやり方、グローバルスタンダードの医薬品の開発の仕方を日本に持ち込む必要があるわけです。厚労省でも一昨年には有識者会議、それに引き継ぐ形で昨年からは薬事規制のあり方に関する検討会を開催するなどの動きがありますので、そうした流れに協会としても乗っていかなければならないと考えます。企業1社でやろうと思うとなかなか難しいことなので、だからこそ協会がそうした役割を担うべきでは藤枝:未来塾は、その名が示す通り未来の人材を育成するための取り組みです。何か成果物を出すために行うタスクフォースとは違って、メンバーそれぞれの成長を促すためのものです。安藤:未来塾は、多種多様な専門性を持った人たちが集まり、将来に向けて自分たちがどうあるべきか、何を考えていかなければならないかといったことを、フリーなディスカッションの中で話し合うことにより、実はこんな考えがあるんだというような気付きを得てもらうことを目的としています。その気付くことが自己成長や視座を高めることにつながるだろうと期待して、皆さんに議論をしてもらっています。業界団体でこのようなことをやっているところはあまりないでしょうが、非常にいい取り組みと思っています。成果物どうこうではなくて、参加している一人ひとりが1年後に大きく成長した姿が見られればうれしいですね。ないでしょうか。安藤:海外には今、たくさんの開発シーズが存在しています。それが日本で開発されれば、日本の患者さんのためになることは確かです。そのため、行政を動かすような発信といった制度の改善につながる活動に注力することは、協会にとって重要なミッションの一つだと思っています。小川:協会は人材育成にも注力していますね。そのための取り組みとして、今年より「未来塾」を開講しました。7もの言う協会として行政を動かし、人材育成にも注力

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