Japan CRO Association Annual Report 2024皆様へ、常日頃より日本CRO協会への格別なるご支援と深いご指導を賜り、心より感謝申し上げます。1994年の9月、わずか4社の集まりで始まった当協会も、この度30周年を迎えることができました。この節目にあたり、過去を振り返り、未来への一歩を踏み出す機会としたいと思います。設立の背景と歩んできた道CRO業界の黎明期、私たちはCROの重要性を業界内外に広めるために奔走しました。最初の挑戦は、CROという概念自体の認知度の向上でした。自主ガイドラインの策定、人材育成、そして信頼性の向上への取り組みを通じ、自立したプレーヤーを目指し、臨床試験の効率化と業界の発展に寄与して参りました。また、1997年の新GCPの公布、及び2012年のCROの全部受託へのGCP改正は、私たちの業務範囲を広げ、業界全体の活性化へとつながり、CROは今ではなくてはならない存在となりました。日本CRO協会 会長ITと新しい治験手法の導入近年では、IT技術の活用や新たな治験手法の採用が進み、CRO協会は多くのITベンダーやデータベース企業も含めた「臨床試験+テクノロジー」の団体へと進化しました。これにより、CRO業界は着実に成長し、加盟会社は正会員13社、賛助会員36社にまで拡大し、売上は約2,500億円、従業員数は約2万人に達しました。直面する課題と未来への取り組みしかし、医薬品開発を取り巻く環境は大きな変革期を迎えています。ブロックバスター型開発の終焉、コロナ禍によるデジタル化の加速、治験規模の縮小、Patient Centricity/PPI、DCT、GCP Renovationに伴う治験手法の変化と共に、特にいわゆるDrug Lossの問題など、前例のない課題に直面しています。CRO協会はこれらに対応すると共に、特にDrug Loss問題では、「海外への治験のアピール」、「治験コストの透明化」、および「治験プロセスの変革」への取り組みを進め、医療機関、他団体と一緒になって国際競争力の強化に貢献して参ります。CRO未来塾の設立30周年を機に、我々は「CRO未来塾」を設立しました。この塾では、労働集約型から知識集約型ビジネスへの転換、データ駆動型時代の新しいビジネスモデルへの移行、そして発信型ビジネスへの進化など、未来に向けたさまざまな議論を行っていきます。CRO協会を代表する次世代リーダーが未来塾から輩出されるものと期待しております。未来への展望我々は、医療技術や治療法の進歩に伴い、CRO業界が医薬品開発だけでなく、広範なヘルスケア分野においても重要な役割を果たしていく未来を信じています。この変化の時代においても、我々は柔軟に対応し、日本の医療、医薬品開発、臨床研究の発展に積極的な役割を果たしていきたいと考えています。皆様の継続的なご支援をお願い申し上げます。共に新たな未来を築いていきましょう。3植松 尚日本CRO協会設立30周年記念 ―皆様と共に歩んだ軌跡と未来への展望会長メッセージ
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