Japan CRO Association Annual Report 2024
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2023年には新型コロナウイルス感染症の各種規制も緩和され、臨床試験の環境もコロナ禍以前に戻りつつあります。コロナ禍を経てリモートアクセスやDCTなど新たな臨床試験手法が導入され、臨床試験の効率化に向けて大きく舵を切ることになりました。ICH-GCP E6(R2)、E8(R1)の施行、そして今後のICH-GCP E6 (R3)の改正というような、GCP Renovationが行われることによりモニタリングのあり方も大きな変化を示しています。その変化に適応し現場の様々な課題を解決することが出来るCRAの育成、現場のプレーヤーを多く抱える日本CRO協会としての業界への提言、関連団体とのコラボレーションによる治験活性化を目標とし、日本における臨床開発の更なる発展に寄与していきたいと考えています。2023年度は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ変更され、モニタリングWGの活動もオンライン(Web会議)主体から、対面での会議が多く行われるようになり、以前の活気を取り戻しつつあります。その一方で、医薬品開発の世界においては、DCTやChatGPTを代表としたAI等のNewテクノロジーが積極的に導入され、デジタル化が進んでいます。モニタリングWGとしては、今後、急速に進んでいくと考えられる医薬品開発のデジタル化に対してNewテクノロジーを適切に利活用できるよう、CRAのサポートとなる情報を積極的に発信していきたいと思います。◆RBM advance(研修)RBM(RBA)の普及・浸透も進んできていることから、今期はRBM(RBA)に絞った研修だけではなくプロセス管理やClinical QMS等の視点も含めた研修を企画・開催しました。また、“患者を中心とした医薬品開発”が重要視されていることも踏まえ、Patient Experience(臨床試験の参加経験)の向上を目的に作成されたツールを紹介するウェビナー(ツールの目的や概要、使用時の注意点等)についても企画・開催しました。◆CRAアンケート(2021年実施)モニタリングWG(ワーキンググループ)では、環境変化に伴う治験・臨床研究の実施状況の把握及び効率化に関わる課題を整理することを目的として2014年、2019年にアンケート調査を実施しています。第3回として2021年にもアンケートを実施。2021年のCRCと臨床試験のあり方を考える会議にてその集計結果についてはポスター発表を行いましたが、全体集計に時間を要し、2023年に論文化に向けて投稿記事を検討しました。■ CRAアンケート(2024年実施予定)モニタリングWGでは、治験等におけるモニタリング環境の現状を把握するため、CRO協会加盟のPL・CRAを対象とした大規模なアンケート調査を定期的に実施しています。昨今、アフターコロナへの移行や治験業務のDx化やDCT導入等により、治験環境の変化が進んでいると考えられますので、アンケート調査を通じて今のモニタリング環境を可視化・分析することにより、モニタリング業務の課題点の抽出、課題解決の各種提案に繋げていきたいと考えています。■ CRA対象メールマガジンモニタリングWGでは、CRO協会のCRA認定取得者に対し、2015年より3ヵ月に1度、メルマガの継続配信をしており、2024年2月の34号まで配信しました。課題として、CRA認定取得者がメインの配信対象となるため、読者が限定的となっていることがあり、対策を検討しています。モニタリングWGのスローガンにある“CRAへの教育”および“情報発信”の一助となるべく、その時代の話題やCRAのスキルアップにつながるトピックなどを配信し、さらに認知度・活用度を高めるための方策を検討・実行することで活動を継続していきます。■ CRO協会宣誓文近年国内未承認薬の割合増加、ドラッグラグ/ロスが深刻になっており、そうした問題に対するCRO業界としての取り組みとして、昨年度末に臨床試験環境の改善を目指すことを目的とした新タスクを立ち上げました。臨床試験環境の改善のためには医療機関と治験依頼者、CROが果たすべき役割を明確化し、協働及び効率化を検討していくことが 重要です。本タスクではCRO業界としての治験業務の役割を明確化し、治験環境の改善につながるよう取り組んでいきたいと思います。◆定例会議モニタリングWGでは毎月1回、定例会議を現地&Webのハイブリッドで開催しています。会議では各Taskの進捗確認に加えて、最新トピックのディスカッションを行っています。最新の臨床試験やモニタリング手法に関して各社の取り組みや課題を共有し、議論を行うこともあります。会社ごとの個性も出て非常に有意義な場になっています。また、CRO協会会議室に集まったメンバーで会食することも多く、会社を超えた交流の場にもなっています。Japan CRO Association Annual Report 202421   2023年度の活動内容   リーダー総括   メンバーからのコメント  2024年度の活動方針・課題ワーキンググループ【モニタリング】治験の環境変化を注視し、モニタリングに関する研修や情報提供を継続的に実施

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