会長ごあいさつ

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日本CRO協会 会長
植松 尚

当協会は1994年の設立以来、製薬会社などが行う臨床試験(治験)に係る様々な業務のプロセスを支援する、また信頼性保証を担う企業からなる団体として、会員相互の連携のもとに、CROの適正な確立、定着、発展に努めてまいりました。
現在、協会会員数は46社(正会員14社、賛助会員32社)、2020年の年間売上高は1,867億円、従業員数は約17,600人となりました。
設立後の最初の10年はCROの存在価値を示すための認知度向上、次の10年は人材育成等を主とした品質向上の10年でしたが、今では、医薬品のみならず、医療機器の治験、また製造販売後、臨床研究、再生医療関連業務や、それに伴うIT関連業務等、業務の幅も広がり、医薬品、医療機器開発や育薬等のプロセスにとってはなくてはならない存在になるまでに成長してまいりました。これも、ひとえに皆様方のご支援のお陰と感謝しております。

その中でCROは、2012年のGCP省令改正で「治験の依頼及び管理に係る業務」の範囲が「一部」から「全部又は一部」になったことを受け、新たな10年における目標として「自立したプレーヤーを目指して」を打ち出し、CROは単なる業務受託から脱皮し、臨床試験の各フィールドにおいて、科学性、専門性、効率性、品質の確保を強化し、また、臨床試験の国際化に伴い、日本の臨床試験の活性化に貢献できるよう努めて参りました。
更に厚生労働省より「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」にてリモートSDVが提唱されたことを契機として、協会事務局内にリモートアクセス専用の閲覧室を設け、リモートアクセスモニタリングの普及・啓発の取り組みや、治験の国際化に伴い2015年にCRA・CRCを対象とした治験実務英語検定制度を開始してきております。
また、近年はQMS導入によるICH 改定、デジタル化、患者さんの臨床試験への関与、RWDの利用など臨床試験の環境は急激に大きく変化、変革し、CROは旧来の業務単独では成り立たなくなり、業務範囲の拡大と共に、様々なステークホルダーとの協業が求められております。特に、Technologyとの結びつきが必須となり、現在、当協会には賛助会員としてシステムベンダー、データベースなどの企業も参加頂きました。当協会は今後も臨床試験などのプロセスを担う企業などの仲介役として、業務の効率化や品質向上に対する様々な提案を製薬会社、医療機器開発会社、医療機関や行政等に行い、更なる医薬品・医療機器開発・市販後各種支援業務の推進に貢献していきたいと考えております。 
一方で、我々CROは業務委託を受けているとはいえ、第三者的な立場で仕事に取り組むことができる立場にあります。CRO各社が業務遂行において高い倫理観を持ち、コンプライアンスを遵守することは極めて重要であり、受託業務の信頼性ならびに取得データの信頼性を確保する上で第三者的な立場であるということを最大限に活かすことができると考えています。

このような環境の中で、当協会は現在、「変革への対応」の重点課題として、「人材育成」「業界団体との連携、行政への対応、治験・臨床研究の効率化」「デジタル化への対応」「コンプライアンスの徹底」「情報発信の強化」の5つを挙げ、具体的な活動を進めております。

今後とも、会員一同、日本の臨床試験を活性化し、より良い医薬品、医療機器、再生医療等製品などをより早く患者さんの手元に届くよう努力して参りますので、皆様のご指導、ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。

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